割引の影響
「Go To トラベル」キャンペーンによって宿泊予約が一気に埋まってしまったというニュースが流れています。
東京も対象になってさらに東京都だけの割引があって、高級ホテルでも半額程度で泊まれるところもあるようです。
割引があるのであれば、今までは少し敬遠していたような高級なホテルやレストランへも行ってみようと思うのはわかりますし、それによってお客が来てくれるのであれば、コロナによってほとんど開店休業状態であった店にとっては、救いの手になるのでしょう。
このことについて思ったことを書きます。
今回のキャンペーンによってある程度お客が戻ってきてくれたとして、キャンペーンが終わった後は大丈夫なのか?と思うんです。
キャンペーン中は、本来の料金より大幅に安い料金でサービスを受けることができます。
例えば通常一泊30,000円のホテルが15,000円で泊まれるとします。
お客は30,000円分のサービスを15,000円で受けることができるので当然「満足感」は非常に高いです。
この場合、もともと30,000円でも満足できるはずのサービスに「割引のお得感」がプラスされています。
じゃあキャンペーンが終了して料金がもともとの30,000円に戻った後、同じお客がもう一度利用するのでしょうか。
一度15,000円でサービスを受けてしまった人にとって、30,000円はとても高く感じてしまうのではないでしょうか。
まぁ、30,000円だったら宿泊しないと思っていた人が一回でも利用したと考えるとメリットがあると思います。
けれど、以前から30,000円の料金を払ってでも宿泊してきた人にとって、今回のキャンペーンによって「15,000円でも宿泊できるホテル」という価値が新たに生まれてしまうことも考えられないか。
以前は満足感を得られていたサービスが、一度割引されることによって物足りなく感じてしまうこともあるんじゃないかと思うんです。
一流の高級ホテルや料亭なんかであればそれほど問題ではないのかもしれませんが、
お手頃なホテルや飲食店なんかだと影響が大きいんじゃないかとも思います。
1杯1,000円のラーメンを出していたラーメン店が、半年くらい1杯500円にして(実際は500円分は国から補助金がでていたとしても)営業していたら
お客は1杯1,000円は高いと思うようになってしまう。
そのラーメンに「500円分の価値」をつけてしまうんです。
この意識をもとに戻すのは大変なんじゃないかと。
確かに「半額」のインパクトは大きくて、その影響や反響も大きいでしょう。
けどその後の展望がはっきりしている上での戦略なのかが大事だと思います。
半額にしたことによって一時的に客数は伸びたとしても、1,000円に戻した時にリピーターが増えていなかったり、以前からの常連客が逆に減ってしまったりしたら、長期戦略として失敗でしょう。
なにか一時的な「仕掛け」をするときは、その後への影響まで想像して策を立てておく必要があると思います。
これは、企業経営だけじゃなくて人間関係にもあてはまる。
恋人の誕生日に、一度サプライズでものすごく凝った演出をしてしまうと次の年が大変ですよね。自分でハードルを上げて、自分でつまずくことになります…。
「昔は優しかったのに…私のこともう好きじゃないんだね」と…。
短期的な視点と長期的な視点のバランス感覚が大切だと思います。
人から何かを頼まれたら、相手の予想以上の結果を出すことで「感動」と「信頼」が生まれる。けれど、その次はさらにハードルが上がることになる。
どうすればいいのか。
常に昔の自分を超えるパフォーマンスを出せるように、自分自身をアップデートしていくしかないですね。